[こわいやさん 感想]目の付け所の秀逸さと侵食される日常描写が恐ろしいホラー[漫画]
こわいやさん1巻の表紙

引用:こわいやさん1巻より

[こわいやさん 感想]目の付け所の秀逸さと侵食される日常描写が恐ろしいホラー[漫画]

あらすじ

可愛らしい生き物たちの暮らすどうぶつ村へと引っ越してきたカエルくん。

色んな店が並ぶ中これからの生活へと心躍らせる彼だったが、一際不気味なこわいやさんという店を見つける。

店主は代金を受け取らずひたすら恐ろしいエピソードが詰まった箱を開けてカエルくんに見せてくる。

彼の目的とは何なのか、カエルくんの日常はどうなってしまうのか。

といった導入のホラー作品。

作品、作者情報

2025年10月8日現在、既刊1巻。ジャンプ+にて連載中。

ジャンプ+公式サイトにて第1話から第3話の無料試し読みも可能。

作者は「カメントツ」という方で、過去に「こぐまのケーキ屋さん」を連載していた。

ここが良かった!

1.切り口が秀逸なホラーエピソード

まず、こわいやさんが開ける箱によって描かれるホラーエピソードがどれも怖く、不気味だったところが個人的に刺さりまくったね。

ビジュアル的な不気味さはもちろん、ホラーというジャンルの切り口も凄く秀逸で思わず面白い発想だなーと唸ってしまうこともしばしば。
森の中、人間の顔面から手足が生えたような存在が謎の玉をこちらに渡してこようとしている場面

引用:こわいやさん1巻より

秀逸な内容だけじゃなくビジュアルも恐ろしい

普段、当たり前に語られる怪異や怪談、都市伝説を深掘りした上で更なるホラーへと落とし込んでいるところが素晴らしかったな。

例えば1巻の中だとタクシー怪談にありがちな幽霊の消えた後に残る水を研究するっていう話は通して面白かったね。

ポピュラーな怪談だし、どこかでその発想に至っても良さそうだけど、意外とそれを研究するって考えた事がなかったし、それを軸にあそこまで話を広げられるのが凄すぎた。

そしてそこから広がる不気味さ、展開にも想像力を掻き立てられる。

他にも呪いの人形を作って稼ぐとかも昨今のホラーブームだと割とありそうな発想で面白かったし、人工衛星と心霊写真の話とかも個人的には秀逸だと思った。

あとはやはりビジュアル面が基本可愛らしい絵柄で進行するのでホラーエピソードとのギャップによる恐怖がえげつなかった点も見所の一つだったな。

他にも媒体を利用した演出やギミックも多く、コミック化に際して多少変化した部分もあるようだけど、広告の使い方みたいなのは非常に上手かった。

全体的に単なるホラー作品というよりも発想の広げ方や繋げ方、演出方法などに拘りを感じられて、今後もどんな切り口で既存の怪異を描くのか楽しみになったね。

2.個々の話が繋がりだす展開の魅力

個々のホラーエピソードの切り口が秀逸なのもさることながら、中には繋がりのある内容へと展開していくところも大きな魅力に感じたね。

カエルくんサイドやこわいやさんの商品同士で繋がりがあったりして徐々に何か大きなものの蠢きを感じられるのがゾクゾク、ワクワクさせられたんだよね。

特に上でも触れた幽霊水のエピソードは研究を進めていく中でどんどんとドツボにハマって行く感じがめっちゃ面白いし、他のホラーエピソードと繋がって来る感じも興味がそそられたね。
様々な自作の道具を使い、タクシー会社からの依頼を受け、幽霊が居なくなった後の水分を収集していく研究者の女性

引用:こわいやさん1巻より

繋がっていく話や展開なども多く惹き込まれる

他にもウメコさんとか、マークの話とかも広がっていく感じが恐ろしかったな。

そして一貫してこわいやさんの箱から語られるホラーエピソードにおいて、話を収集しているような人物がいる点も繋がりを感じて気になる。

最終的に個々のエピソードがどんな全体像を描き出すのか、たまらなくワクワクする。

全体的に個々のホラーエピソードの切り口の秀逸さだけでなく、後々他のエピソードにも出てきたりと繋がりを感じれる所が凄く興味深く面白かったね。

3.徐々に侵食されるカエルくん側の展開

こわいやさんで語られるエピソードのホラー的な秀逸さや繋がりはもちろん、カエルくんサイドでも物語が進行、日常が侵食されていく感じが個人的には本作の大きな魅力の一つだと思ったな。

最初は町にやってきた余所者だったカエルくんが、紆余曲折の末にこわいやさんで働くようになり、そして・・・。
と、徐々に展開していく。

しかも、こわいやさんで出た話が絶妙に彼の日常を侵食していっている感じとかもまさにホラー作品という感じがあってめちゃくちゃ惹き込まれたんだよね。

ここでも登場するマークの話とか。
めっちゃ不気味だし何か尾を引く恐怖感。
りんごの収穫を手伝っていたかえるくんが謎のマークを発見し、依頼主のねこに尋ねている場面

引用:こわいやさん1巻より

徐々に浸食されるカエルくんの日常にも注目

あとは単純にカエルくん自身のバックボーンにもそれこそホラーの様な不気味さがあって魅力的だったり、まだまだこわいやさんそのものにも謎が残されていたりと、そっち方面の今後の展開もめちゃくちゃ気になる。

特にこわいやさんが何故その怖いエピソードの詰まった箱を公開する必要があるのか、とか。
それ自体が目的っぽい描写も気になる。

などなど、オムニバスっぽく描かれていくホラーの繋がりや侵食的な展開も個人的には凄く刺さった部分だったね。

総評

こわいやさんが提供する個々のエピソードの怖面白さと、可愛らしい動物たちの日常のギャップ感がまず刺さった。

その上、エピソード自体も繋がりがあったり、カエルくんの日常も徐々に侵食されていっている感じもめちゃくちゃ惹き込まれたんだよね。

まだまだ点が少しだけ線として繋がっているだけで、全体像が見えてこないので、ここからどういう風に展開し、物語として着地を見せるのか、めちゃくちゃ楽しみだね。

そんな、可愛さと怖さのギャップと侵食される日常描写も恐ろしいホラー作品。

気になった方はぜひ読んでみて欲しい。

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