Moss第2巻のOPでの画面
[Moss第2巻 感想.評価]進化したゲーム性、プレイヤーと勇敢なネズミの旅路[VR]

[Moss第2巻 感想.評価]進化したゲーム性、プレイヤーと勇敢なネズミの旅路[VR]

どんなゲームか

前作にて宿敵であるサーフォグを倒したネズミの女の子クイル。

しかしアーケインとの戦いはまだまだ終わってはいない。

敵の親玉タイランを倒すためガラスと呼ばれる5つのアイテムを集めながら相棒である読む者(プレイヤー)と共にクイルの旅路は次の段階へと進んでいく・・・。

といった導入のVRアクションアドベンチャー。


作品情報

2022年4月5日発売。開発元はPOLYARC。 対応プラットフォームはPSVR、PSVR2、Meta Quest2など。

定価5390円(税込み)

公式サイト(英語)はこちら





前作のエンディング直後から始まるストーリー。

新たに追加されたいくつかの武器種や敵キャラのおかげで戦闘にバリエーションが増えた。

更に新要素が増えた事でそれを利用したパズル要素が増え、謎解きの面白さもパワーアップ。

前作は割りと代わり映えのしないロケーションが多かったように感じたが、今作では様々な景色のロケーションが追加された。

追記:1、2作のどちらもがPSVR2に対応!
PSVR2ならではの機能が色々追加される様子。

などが本作の特徴となっている


プレイ環境と状況

まずプレイ環境としてはPSVR版をPS5にてPS4のコントローラーを使ってのプレイ。

一通りメインストーリーをクリアした後での感想。

因みに前作のMossもクリア済み。


X(旧Twitter)でのプレイ当時の僕の感想。



要素毎の感想と評価

1.新武器の登場により進化した戦闘

今作では前作よりも武器種が増えたことによって戦闘に多少の幅が出た。

というのも前作だと剣で切るだけのかなりシンプルな戦闘だったんだけど、今作では新たにチャクラムやハンマーといった武器種も追加され前作に比べて多彩な戦闘が楽しめるようになった。

単純な変化のように見えるけど、これがとても楽しい。

やっぱ変に捻り過ぎず正当進化な感じって良いよね。
ネズミのクイルが新たな武器ハンマーを手にしている場面

新武器の1つハンマー。無骨で良いね


通常の戦闘自体は割とシンプルで敵の攻撃を避けつつこちらが攻撃を当てていくといった感じ。

ただ、クイルは終始3発しか耐えられない体力しかないので、結構的確に敵からの攻撃を避けていかないと直ぐにゲームオーバーになってしまう。

この辺は適度な緊張感もあって割と悪くなかった様に思う。

もちろん、読む者(プレイヤー)がクイルの背中を摘み上げることで戦闘中でも体力が最大まで回復するので、そこまで苦戦するほどの難しさの戦闘は少なかった気がする。
城の裏庭の様な場所で敵と戦うクイル

単純だけど意外と難しい戦闘


雑魚戦は割と単調な戦闘が多かったんだけど、ボス戦は打って変わってVRならではの戦闘になっている。

スティック部分でクイルを操作しつつコントローラー自体(コントローラー自体を操る=読む者の行動って感じ)を別々に動かして相手の弱点を掴んだりギミックを動かしたりする等など結構忙しい仕様。

この忙しい感じが逆にクイルと共闘している感じが出ていて個人的には本作の中でも大きな魅力の1つだった様に思う。

VRならではの没入感高めな要素っていうのは良いよね。
色々なギミックを平行して作動させて戦うボス戦

攻撃避け、スイッチ押し、敵を弾く。忙しい


2.小さなネズミの心打たれるストーリー

ストーリーの冒頭は前作のエンディング後からそのまま続いていく形になっている。

もちろん、今作から入った人や前作のストーリーを忘れてしまった人に向けてゲームを開始時にちゃんと話をおさらいしてくれる親切設計なので、安心してプレイできる。

とはいえ、前作もかなり面白かったのでやっていない方はまずそっちからプレイするのがオススメではある。

内容としては王道的な展開。

前作でも結構ワクワクドキドキな展開が多かったんだけど、今作はそれを凌ぐ涙あり、熱くなったりする展開ありと可愛らしい小さなネズミのデザインとは裏腹に結構シリアスなストーリーで非常に楽しめた。

新キャラのサヒーマも登場シーンは少なかったけど、キャラクターとしては魅力的だったと思うしね。

さらに、今作では一旦の解決は見せたもののまだまだ続きがありそうな締め方で物語が終っているので今後の展開も気になる感じの仕上がり。

特にラストの演出はゾワッとして中々いい感じに余韻を残してくれた。
なんだよ、ホラーゲームかよ!って思ったね。不気味な雰囲気で良かったなー。

今後、どういう展開になっていくのかにも期待できる良いストーリーだった。

ボリューム自体はわりと少な目で全体を丁寧にプレイしても5~6時間といった感じ。
コンパクトにギュっとまとめてきたなーって印象で個人的には悪くなかったね。

どうしてもVRゲームっていうのは酔わない作りだったとしても疲労感出やすいし、丁度良い采配だったように思う。
巨大なフクロウのタイランに襲われるクイル達

ムービーなんだけど手を差し伸べたくなる


3.可愛くて芯の強いネズミ達と凶悪な敵

前作に引き続き主人公を務める女の子ネズミのクイル。

プレイヤーに向けてガッツポーズやハイタッチなどのアクションを見せてくれるクイルは見ていて楽しくなる存在。

正義感が強く、勇気があって、芯の強さも持ち合わせるクイルは、まさに主人公にふさわしいキャラクターだなーって思う。
プレイヤーでもある読む者と再会したことを喜ぶクイル

プレイヤーとの相棒感がとってもいい感じ


更に今回は新たに一部分で操作可能なキャラクターとしてサヒーマという女性ネズミも出てくる。
このキャラも中々に魅力的でクイルよりも勇ましい感じ。

最初はクイルの事を訝しげに思っていたりするけど最終的には自らが守っていたガラスを渡してくれる位に打ち解ける。

今作1回だけの登場では勿体ない良いキャラだったので次回作とかがあれば是非もう一度出てきて欲しい所。
新キャラのサヒーマがキノコの下を移動している場面

口悪いけど芯の強い良い奴


唯一あんまり好きになれないのは妖精のアデリン。

ネタバレを避けるために細かくは触れないけど、なんとも言い難い嫌な奴。

ある意味作品を面白くする存在ではあるんだろうけど、うーんって感じ。

色々な展開を考えていくと今後の作品の流れによって評価は変わるかもしれないけど。

今のところはアデリンに良い印象は無かったかな。

他にも何人か新キャラも出てきてその殆どが良いやつで安心感ある。

クイルの叔父さんも良い人だったし。敵のデザインも強そうで僕好みだったなー。


4.没入感の高い表情豊かなロケーション

最初は城の中が舞台になっているというストーリーの構造上、ロケーションや景色の変化は少ないだろうなーという先入観で始めたんだけど、それは見事に裏切られたと言っていいね。

城の中からワープホールみたいなものを通って森に移動したり、雪山、地下の溶岩が流れる工場など、想像していた以上に多彩なロケーションを冒険することが出来る。

これは嬉しい誤算だったな。

VRゲームである以上は景色とかの見た目の変化や没入感が充実していることが満足度に大きな影響を与えるんだけど、このゲームデザインはかなり良かった。

そういうところも細かく配慮して作られているんだろうなーって感じたね。
地下にある熱気溢れる工場の様な場所を進んでいくクイル

熱気が伝わってくる程の没入感。良いねー


マップに存在する花とか絵画なんかのオブジェクトも結構丁寧に作られていてついつい見入ってしまった。

特に道中に出てくるネズミよりも大きいサイズの生物、カエルやウサギなんかは中々に存在感が凄くて、クイル達のことを真剣に心配してしまう自分がいた。

それほどの没入感。

後、チャプター毎に読む者がクイル達の物語を本として読んでいるっていうシーンが挟まれるんだけど、そこのシーンの景色全体がクイルが冒険したロケーションっぽく変化する演出は中々に素晴らしかった。

細かいところにこだわっている感じ本当に良い。

こういう演出が映えるのもVRゲームならではなんだよなー。


5.様々な新要素で深みを増した謎解き

前作同様にプレイヤーと協力して謎を解くギミックもいくつかある。

さらに、新しい武器種が増えたことでこの謎解き部分の幅も大きく広がりをみせていた。
ボス戦でもその要素が際立っていたね。
雪景色の中、サヒーマがチャクラムでギミックを攻略する場面

新武器を使った謎解きも楽しい


特に終盤は今まで登場したギミック勢ぞろいの面白い謎解きの連続で、解き方を考えるのが非常に楽しかったね。

勢ぞろいすると言っても、このギミックそれぞれの難易度自体は頭を抱えるほどの難しさのものは無かったように思う。

もちろん、この辺りは人それぞれだけど、特に詰まり過ぎて何時間も足止めを食らうとかってこともなく、だいたい一つ一つが10分以内には抜けられる程度の難易度だったと思う。

この辺りのバランス調整も非常にほどよい感じでストレスも少なく満足できる出来だったな。

こういう謎解きギミック要素もVRゲームでは実際に覗き込むような感覚で解いていけるのも本作の大きな魅力の1つと言えるね。


6.全体を通してのVRとしての印象

基本的にクイルが冒険するエリアを上から覗き込んでいる形でのVR体験なので酔うことがほとんど無いのはかなり評価できるポイントだと思うかな。

座ってプレイできるゲーム性も人によってはとっつきやすいかもなーといった印象。

もちろん僕自身は、立ってガッツリ没入できるVRも好きだけど、こういうミニチュアを見ているようなゲームデザインも同じくらい魅力的なんだよね。

設定的にも世界を覗き込んでいるプレイヤーという構図になっているところも面白いんだよね。

やっぱVRの魅力の1つにはサイズ感っていうのが大きく影響していると思う。

例えば自分より極端に大きい存在や小さい存在。

さらに言えば自分自身のサイズが変わったりとかも面白い。これはリアルじゃ味わえない体験だからね。

そうした要素を総合するとこのシリーズはVRに酔ってしまう人でも安心してプレイできる入門編的にも良さそうだったと言えるかな。



7.PS5でのプレイ、収集物要素、その他

PS5でのプレイについての感想。
PS5の内部SSDでのプレイっていうのもあってかそれほど気になるような長いロードは無かった。

唯一残念だったのはPS4のコントローラーが必須だった事。

この辺は他のVRゲームでも同じでしょうがない事ではあるんだけど、改めていちいち引っ張り出してこないといけないのは正直面倒臭いね。PSVR2の発売が待ち遠しい。

バグについて。
一通りプレイしていてそれらしいものには遭遇しなかったかな。
丁寧な作りで素晴らしいと思う。

収集物に関して。

マップ上に巻物のようなアイテムが落ちていてそれを集めることで綺麗なステンドグラスが完成する。という収集物要素。

これ以外にも樽などのオブジェクトを壊すことで虹色の粉のようなものが手に入り、それの数に応じて封印された扉が開き、クイルの見た目を変えることができる防具が手に入る要素がある。

ちなみにこのスキンは防御力や体力には何も影響しないみたいで、どれを装備していても敵の攻撃3発でクイルはダウンしていた。

クイルを眺めているのは楽しいのでこういうスキンはもっと種類があっても良かったのになーとは思ったかな。

因みに僕は結局、全部集められてはいないけど普通に通してクリアした段階で8、9割集まっていたのでこの辺はコンプリートはそんなに難しくないと思う。

チャプター毎にどこを取り逃しているのか何となく分かる様にもなっているし。
ただ、VR人口が少なすぎるからなのか攻略等の情報が充実しておらず、集めるとなると割と自力でやらなければいけないのは辛いところ。

もっと流行ると良いねVRゲーム。
森のエリアで隠された収集物を拾うクイル

VRならではの覗き込まないと見えない所にも


ここが良かった!

・王道かつ、熱い展開のストーリー

・新たに増えた武器による、戦闘、謎解きのパワーアップ

・ロケーションも多くて辺りを見回すのが楽しい

・ボス戦の慌ただしい感じ、かなり面白い


ここが気になる!

・多少ボリュームが少なく感じる(単純にクリアで5時間程度)

・PS4のコントローラーのみしか使えないのは面倒


総評

全体的にゲームとして正当に進化している感じが良かったなー。

武器の種類が増えて戦闘のバリエーションも豊かになっていたし、印象が違うロケーションのステージが増えていたのも良かった。

謎解きのギミックも丁度いい難しさでストレスも少な目だったし。

あと、クイル以外のキャラを操作できるようになったのは前作とはまた違った魅力を感じられたね。

もっと個性を増やして完全なデュアル主人公にしてみても面白いのかも。

ストーリーも全体的に熱い展開や感動的なシーンがあったりと起伏があって飽きることなく楽しめたな。

更にそんな進化したゲーム性の中にプラスしてVRゲームとしての没入感もがっつりと加わってくるのでより一層濃い体験が出来たように思う。

酔いにくい見下ろし型のゲーム体験も良いものだね。

エンディングの展開といい続きがまだまだ気になる本作。

続編が出るとしたら、PSVR2とかにも出してくれると良いんだけど。
その辺りの動向も結構楽しみだなー。


(追記:PSVR2での発売も決定した様子!
独自のハプティクスフィードバックやらの機能も搭載する上、前作もPSVR2と同時発売らしい。
これは素晴らしいね。

ただどうやら現段階では無料アップグレードには対応しない様子。
変化が気になるけど、僕は様子見かな。

未プレイの人は是非この機会に1,2共にやって欲しいね)


そんなわけで、更なる進化を遂げたゲーム性と感動的なストーリーが面白い、プレイヤーとクイルの旅路。

気になった方は是非やってみてほしい。