[Rise of the Ronin 感想.評価]幕末の物語と日本特有の景色、戦闘の駆け引きが魅力[ゲーム]
どんなゲームか
時は幕末。様々な思惑が交錯する混沌とした時代の中で故郷を焼かれ、親を殺され辛くも生き延びた所を隠し刀として育てられた二人の子供たち。
時が流れ成長した二人は任務として黒船のペリー暗殺へと向かう。
しかし突如として現れた青鬼と呼ばれる男に邪魔をされ失敗。
共に育った片割れが命懸けで主人公を逃がすことに。
この出来事を発端に拠り所である里をも焼かれ、再び天涯孤独となった主人公は生死不明の片割れを探すべく横浜の地へと赴く。
果たして片割れは生きているのか、この激動の幕末をどう駆け抜けて行くのか。
といった導入のオープンワールド幕末アクション。
作品情報
2024年月日発売。開発元はTeam NINJA。対応プラットフォームはPS5、Steam版などのPC。
価格は8980円。
幕末の日本の主要地域を探索出来る和オープンワールド
Team NINJA特有の死にゲーライクな戦闘システム
様々な幕末の偉人たちとの出会いやイベント
片割れを巡る熱く切ない物語
クリア後には更なる高難易度や能力強化の開放
留魂録システムによる別分岐確認がやり易い
部位欠損等の描写のあるZ指定版も同時に発売されている
といった特徴がある。
[追記]
2024年5月22日に新たな最高難易度「極夜」や治安悪化機能の追加など大幅な利便性向上アップデートが行われた。
PSstoreサイトはこちら
プレイ環境と状況
Z版をプレイ。初回プレイでのメイン武器は薙刀と銃剣を使用し難易度は黄昏。
史実寄りのプレイスタイルにて一通りクリア。
その後トロコンを達成し、最高難易度の暗夜にて他の分岐を確認しながら再びラスボスを撃破した段階での感想、評価。
ちなみにTeam NINJA系の作品は直近のウォーロン含め、仁王シリーズやニンジャガイデンの何作かはクリア済み。
→ [Wo Long: FallenDynasty 感想.評価]三國志をダークな切り口で描く爽快死にゲー[ゲーム]
僕の幕末自体の知識は薄め。
銀魂とか無限の住人の幕末の章とかの漫画知識と学校の授業で習った知識がうっすら残っている程度。
という事は予め了承願いたいところ。
要素毎の感想と評価
1.和の魅力が詰まったフィールド探索
まず、個人的に物凄く魅力を感じたのは和の魅力が詰まりまくったフィールド探索部分だったな。舞台が幕末ということもあり、主な探索地域は江戸や横浜、京都周辺といった感じ。
同じ時代、同じ国であったもそれぞれの地域毎に時勢が如実に反映されていて、最初の横浜だったら海外との交流地点でもある事から町並みが和洋折衷な感じでユニークだったし、江戸幕府のお膝元である江戸では独自の文化体系が息づき、京都では流石古都と言った感じの趣ある景色が広がっていた。
まず、この街並みの作りこみ、景色や空気感の良さが物凄く刺さったな。
現代でもお馴染みの浅草の浅草寺や歌舞伎座、清水寺などといった有名な観光名所なんかも再現されており街を観光しているだけでも楽しい。
現代でもお馴染みな観光名所も再現されている
桜とかの景色も綺麗でついつい見とれちゃった
特に猫の挙動が可愛すぎて各地の猫は真っ先に探し回ってしまったな。
あとは、こんぴら犬も可愛かった。
送り出す際にわしゃわしゃするのにはメッチャ癒されたね。
猫も犬もモフモフ感が凄くてめっちゃ癒された
とある洞窟に碧眼のサムライという明らかに仁王の按針を彷彿とさせる強敵もいたり。
しかも倒すと仁王流の流派も取得できるし、こういう小ネタ感も凄く良かった。
全体的に高低差を含めマップは広いものの、移動全般のゲームシステムもかなり遊び易く設計されていて、早い段階で馬や高所からの滑空装備が手に入るためかなりストレスフリーな仕上がり。
更に非戦闘時は走ってもスタミナが減らない等、至れり尽くせり。
獲得すべき収集物の位置もミッション攻略や街中でランダムに発生する、困っている人を助けることで明らかになるので隅から隅まで走り回る必要性が無いのもかなり遊びやすかったね。
ただ、裏を返せば分かりやすくなりすぎているため若干探索のワクワク感は薄くなりがち。
各地のお尋ね者も見た目的には突き詰めれば結局は人間という事もあってインパクトも若干薄くなってしまい、探索中に緊張感が走るような場面も少ない。
獣系で大きなクマとか更に大きな猪とか出てきても面白かったんじゃないかとは思う。
とはいえ、日本らしさ全開のロケーションの景色はどこを切り取っても、とてつもなく美しく、若干大味になりがちな探索もそれほど気にならない位にあちこち歩き回るのが最後の最後まで楽しかったな。
これ以上幕末の頃に大きく発展していた地域を出すのは難しいのかもしれないけどこのデザイン性でもっと色んな場所を見てみたくなったね。
2.Team NINJAらしさ全開の戦闘
本作の開発にはTeam NINJAが携わっている事もあって戦闘は安定した面白さだったな。武器種も多く、流派と呼ぼれる固有のシステムによって戦闘中に瞬時にスタイルを切り替えられるのは凄く面白いシステムだと思ったな。
武器自体はシンプルなものが多いけど、同じ武器でも流派が違えば攻撃、武技と呼ばれる技のモーションがしっかり変わってくるのは楽しい。
流れる様に流派を切り替えて迫り来る複数の敵を撃破出来たりすると脳汁が溢れまくり。
武器と流派を使い分け戦闘を有利に運んでいく
特に敵のみの武器種は色々と使ってみたくなるものも多かった。
双爪とか双大太刀とか西郷の使っていた巨大な棍棒みたいな奴も自キャラでじっくりと使ってみたかったな。
一応、徒党として連れて行けるキャラは操作キャラとして使えるから何となく動きを確認する事は出来るけど。
基本的な戦闘は武器と流派の相性によるジャンケン形式。
そして敵の大技を如何に石火というカウンターで弾くかというのが肝となってくる。
1回の戦闘時に敵がわらわら出てくるのと、強敵によっては戦闘中にも武器、流派チェンジを行って来るので結構目まぐるしくて面白い。
敵の大技連打を弾くヒリヒリ感は丁度良い塩梅
スタミナ回復のための閃刃というシステムもあるからR1ボタンは割と押しがちだし、カメラを動かす事も多いから、結構な頻度で暴発してあらぬ流派になっていたことがしばしば。
特に本作はやれることが多く、利便性を高くした分なのか、かなり多くのキー組み合わせにコマンドが配置されているためこの辺りの操作性は若干ややこしかった。
ここまで来ると背面ボタンがデフォルトで欲しくなってくるなーとかはどうしても感じちゃったな。
戦闘の難易度としては、レベル相応の敵との戦いは仁王やウォーロンを彷彿とさせる死にゲーライクなテイスト。
連打をくらえば一瞬で溶かされるし、キチンと相手の攻撃を石火と呼ばれるカウンターで弾かないといけない高難易度。
ただし、総じてレベル上げがしやすく、装備の強化も容易なためきっちりと探索をこなしていれば相性が悪い武器や流派でも回復ゴリ押しで何とかなってしまう難易度へと低下する。
武器や防具はハクスラゲーの様に付いているスキルが違い、それを別の装備に継承出来るのでちゃんとレベリングと装備を整えれば殆どの敵には苦戦する事なく戦える。
ある意味この辺りの難易度調整にはゲームとしての間口の広さ、バランスの絶妙さを感じた。
縛れば死にゲー、探索重視ならARPGらしい攻略も出来るというハイブリッド感は素直に凄いと思ったな。
中にはそれでも苦戦するような猛者もいたけど。
本気モードの斎藤一とか、ラスボスとかはメッチャ苦戦した思い出。
同じ時代の人間とは思えぬ圧倒的な動きの連続だった・・・。
負け過ぎて、難易度下げられますよ?って出たのは屈辱的だったな。
全体的に戦闘システムはある意味でTeam NINJAの集大成とも言える出来で個人的には凄く楽しめたね。
3.幕末を駆け抜けた偉人たちとの出会い
舞台が幕末ということもあって中学、高校辺りの社会科で当たり前に習ってきた偉人たちが数多く登場。その誰も彼もが個性的かつ魅力的な人物に描かれていて彼らとのやり取りの1つ1つが非常に興味深く面白かったな。
倒幕派だと桂小五郎とか高杉晋作とか、佐幕派だと新撰組の面々や徳川慶喜とか、外国人関連だと有名なペリーやタウンゼント・ハリスなど。
もっと言うと町人レベルで微妙に名が残っているような人物まで網羅されている。
個人的には本作をやるまでは全く知らなかった久坂玄瑞とかのバックボーンは面白かったな。
誰でも知っている様な偉人たちが数多く登場
普段のクールさとはうって変わって猫を愛でるイネが可愛かったのと比翼の契りを結んだ後の意外と嫉妬深い高杉晋作の感じは良かった。
何処まで史実に基づいているのかは歴史に詳しくないので分からないけど、偉人たちの意外な関係性や性格、バックボーンなんかが分かって面白かったな。
衝撃度でいうと福沢諭吉が居合の達人とか渋い政治家のイメージが強い伊藤博文がただの活発な青年みたいに描写されているのは面白かったな。
これを遊んでいると実際どんな人生を歩んでいたのか伝記とか読んでみたくなる。
どっちの勢力に付くのかは最後まで悩んだね
また、これらの偉人を徒党として戦闘に連れていくことも可能。
共闘してくれるのは楽しいし、暗殺とかした時にリアクション取ってくれるのも良い感じ。
ちなみにほとんどの登場人物が好感度上げることで固有イベントやロマンス要素もある。
しかも異性だけでなく同性でも可能。
拠点の長屋にも訪ねてきてくれるし。
僕自身は初回プレイでは必然的に好感度の上がりやすい薄雲太夫と比翼の契りを結んだ。
最初はルールがよく分からなくて適当に好感度を上げる度に比翼の契りを結んでいたけど、複数人いると他の人と別れて来いって真面目に怒られるのには申し訳ないけど笑っちゃった。
しかも別れ話を切り出すと結構辛辣な事を言われて胸が痛むし。
こんな所までリアルにしなくてもという気はしないでもない。
最終的に色々と関係を精算して楠木イネ1本で行くことにした。
ロマンスイベントには思わずドキドキしちゃう
改めて幕末という時代に触れたけど、ここまで何かしらで名前が残る有名人が多いというのはシンプルに凄い時代だったんだなーとか思ったね。
4.幕末の裏で片割れを探す主人公の物語
物語の主軸は黒船での戦いの後に離れ離れになってしまった片割れを探すこと。冒頭で語られるけど、主人公を逃がすために残った片割れの死体が上がってこないという所から物語は大きく動きだす。
それと同時に激動の幕末を駆け抜けていくというのが主な展開。
全体的に熱く切ない展開が多く最初から最後までグイグイと物語に引き込まれ、凄く面白かったな。
単純に幕末があまりにも激動の時代で物語としてみたときに興味深く、面白いし、特に中でも片割れとのエピソードは自分自身が愛着を持って作り上げたキャラだけあって、どう動いても心が揺さぶられたな。
詳細はネタバレになるから省くけどラストの選択肢も熱かった。
とある選択肢の後のあの演出、描写にはやられたね。
激動の幕末で暗躍する片割れ。その目的とは
長州勢の倒幕派か新撰組や幕府の佐幕派か。
そして何より素晴らしかったのは留魂録という要素によって周回プレイせずとも別の派閥や選択肢の物語を簡単に楽しめる所。
こういう所にも快適性を感じたね。
ただ、プレイスタイルにもよるんだろうけど物語の基本路線が、主人公があまりにも浪人過ぎてフットワークが軽くどっちの陣営にも割と良い顔しがちなのはちょっと気になる。
あと、分岐でそこまで物語が大きく変化しないのもちょっと拍子抜け。
せっかく派閥を選べるならもっと大きく歴史改変があっても面白かったのかなーとは思っちゃったかな。
とはいえ、幕末というテーマ自体が持つ面白さと片割れを探すという主人公の目的が程よいバランスでマッチしていて全体としては物凄く面白かったな。
5.クリア後要素やトロコンに関して
クリア後にも様々な要素が追加されやり込みとしても十分楽しめる。まず高難易度の暗夜の解放。
これはシンプルに難しい。
クリア段階で直ぐに挑戦してみたものの、他の死にゲーよりも死にゲーしていた位には高難易度だった。
雑魚的にすら数発で沈められるし、ボスのちょっとした一撃でも普通に沈む。
割としっかりとレベリングや装備集めはしないとダメな感じ。
ただ、高難易度追加に伴って開新という強化要素も同時に開放される。
これによってキャラを更に上の段階に育成可能に。
最大体力を増やせたり、防御力を上げたりとがっつりと育成に伸び代が生まれたのは凄くワクワクしたね。
更なる強化要素の開放でより一層育成が楽しい
この極上品に関しては因縁継承の縛りも緩くなりスキルの移行が楽に。
ハクスラとして更に面白さの幅が広がったのは面白かったな。
あとは鍛冶屋等の機能が長屋からも行える様になるなど利便性も更なる向上を見せる。
全体的に本作のハクスラ要素や死にゲー寄りの面白さを更に追求できる要素が開放され、やり込みとしては十分。
ちなみにシンプルにプレイヤー自身の腕前のみで挑むと難易度は高いけど殆どのボスに状態異常が比較的入りやすいので毒矢、火矢辺りを持っていくと割とスムーズ。
個人的に好きでよく連れて行っていた徒党は武田物外とアレクサンドリア・モロー。
他のキャラはあまり使わなかったから分からないけど、シンプルに物外の素手攻撃が火力と気力削りが結構優秀。
モローは気焔の時に攻撃に毒が乗るのが良い感じ。
トロコンに関してはかなり楽な部類。
一通り探索を埋めながら遊べば8割くらいは埋まっているし、留魂録のおかげで別ルートのイベント回収ややり直しが楽なのも良い。
あとは細かい特殊ムーブとかで取れるトロフィーだったりするので難しくない。
しかもトロコンを狙うだけなら最高難易度の暗夜をやる必要すらもない。
楽なのは良い事だけど、流派全集めとか位はトロフィーに入れておいても良かったんじゃないかとも思わなくもない。
全体的にクリア後のやり込み要素も充実しているし、トロコンも楽だし、痒い所にしっかりと手が届くバランス調整になっているのは素直に遊び易かったね。
6.その他システムやバグに関して
ロードは全体的に早め。オープンワールドにも関わらず3から5秒くらいでどこへのファストトラベルも完了する。
メニューからの起動や死亡時の再戦もそれくらいでかなり快適。
コントローラーの振動やトリガー押し込み負荷なども丁寧に対応していてムービー中の些細なキャラクターの動きや演出にも様々なパターンの振動が用意されていたのは個人的に好きだったかな。
バグに関しては致命的なものには遭遇せず。
ただ一度だけ雑魚敵が地面に埋まって頭だけ出してウロウロしていたのにはビビった。
ここが良かった!
・日本特有の和なフィールド探索が楽しい・Team NINJAらしい駆け引きの楽しい戦闘
・ストーリーも偉人たちとのやり取りが熱く引き込まれる
・移動面やアイテム面など快適でストレスフリー
・クリア後含めハクスラ要素も楽しい
ここが気になる!
・若干探索関連の密度が薄く大味・良くも悪くも戦闘が大味になりがち
・水辺周りの挙動が若干変な動きが暴発する
・一応分岐はあるが大勢には影響がない
総評
日本特有の和で美しいフィールド探索、流石Team NINJAと思えるような戦闘の軽快さと駆け引き、そして偉人たちや片割れとの熱く切ない物語。どこを切り取っても非常に高い完成度でめちゃくちゃ面白かったな。
それらを繋ぐシステム面もストレスを極力減らすようなデザインに設計されていて非常に遊びやすかった。
とにかく間口を広げて色んな人にも楽しんで貰えるようにしようという工夫を随所に感じられたのは凄く良かった所だね。
分岐関連とか細かい探索においての大味さ等には気になるところはあるものの総合的には凄く楽しかったし、このシステムでもう何作か遊んでみたいと感じられたのは素晴らし事だと思う。
ただそれ故に舞台設定的に続編を作りづらいのが悲しい。
出せても史実のボリューム感を考えるとDLC位だろうしね。
なんならこのタイプの仁王の外伝作品とか出したら随所に巨大な妖怪を配置したりして探索にワクワク感と緊張感も出せるし良いんじゃないかと思ったり。
なんにせよここまでの完成度は1作じゃ勿体ないと思っちゃったな。
作品の続報には期待したいね。
そんな、激動の幕末の物語と探索と戦闘の楽しさに満ち溢れた和オープンワールド。
気になった方はぜひやってみてほしい。
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