TheDarkPictures:Switchback VRのタイトル画面


[TheDarkPictures:Switchback VR 感想.評価]シリーズお馴染み要素満載のホラー[VR]

[TheDarkPictures:Switchback VR 感想.評価]シリーズお馴染み要素満載のホラー[VR]

どんなゲームか

久々に妹会いに行く道中の電車内。

ふらついた1人の乗客が主人公の目の前に置かれていたコーヒーをこぼした上、言いがかりをつけてくる。

直後、車内に轟音が響き渡り主人公は意識を失う。

薄れゆく意識の中、目の前に広がっていたのは崩壊し火の気が上がる電車内。

再び意識を取り戻した主人公を待ち受けていたのはインフェルノと呼ばれるレールアトラクションのコースターの上。

はたして主人公はこの悪夢から逃れる事は出来るのか。

といった導入のVRホラージェットコースターシューティング。

作品情報

2023年3月16日発売。開発元はSupermassive Game。

対応プラットフォームはPSVR2。

価格は5280円。



開発元の代表作であるダークピクチャーズシリーズそれぞれに登場するお馴染みの怪物やイベント、恐怖演出を体験できるアトラクション形式のゲーム性

PSVR2の機能の一部を活かしたVR体験

浮遊感が味わえるハイスピードなジェットコースター要素

迫りくる怪物や配置されている物を次々に破壊しハイスコアを目指す爽快よりなシューティング

シリーズ本編の様に分岐要素のあるアトラクション部分のシステム

といった特徴がある。


プレイ環境と状況

PSVR2でのプレイ。

一通りクリアして、トロコンを達成した後での感想、評価。

前世代機のPSVRで発売されていた前作にあたるUntil Dawn: Rush of Bloodは未プレイ。

ダークピクチャーズシリーズに関してはMAN OF MEDANとLITTLE HOPEのみクリア済み。

[リトルホープ 感想.評価]無数に分岐するマルチプレイ型ホラーアドベンチャー[ゲーム]

因みに同じ開発元のクアリーもクリアしている。

[クアリー 悪夢のサマーキャンプ 感想.評価]マルチプレイ分岐ホラーADVの傑作[ゲーム]

最初に断っておくと前世代機のPSVRを遊びまくった事もあってかほぼ酔わない体質。
Twitterでのプレイ当時の僕の感想。



要素毎の感想と評価

1.ダークピクチャーズ特有の恐怖体験

何と言っても本作の目玉はダークピクチャーズシリーズのお馴染みの化け物や作品の舞台雰囲気をアトラクションとして味わえることだったね。

僕自身は初期の2作しかやっていないから後半のステージに関してはやんわりとした知識しかないけど、少なくとも前半のMAN OF MEDANのコースは起こる出来事が何となく分かっていてもかなり恐ろしかったな。

特にセクシーな船員?からのホラー演出とかは懐かしさと恐怖が半端じゃなかった。
プレイヤーの眼前に迫りくる不気味な表情の女船員
分かっていて尚、嫌な汗をジトッと掻いたね


LITTLE HOPEコースでは魔女裁判の場面や家の火事、橋の下での怪物との邂逅。

この辺も元の作品での名場面が上手い事再現されていたし、お馴染みの怪物もキチンと登場してくる。

改めてVRで遊んでいて思うけど、どいつもこいつも間近で見ると怖すぎな良いデザインをしていたな。
オリジナル版での細かい要素がきちんと再現されているリトルホープステージの室内の場面
シリーズプレイしていると懐かしい場面も多々


HOUSE OF ASHESやThe Devil In Meはやったことないけど、あらすじで何となく知っていた情報通りの遺跡探索や殺人ホテル?をテーマとした展開がコースに上手い事反映されていたね。

こっちのコースは詳細を詳しく知らないからどんな事が起きるか予測が出来なくてメチャクチャ恐ろしかったな。

特にThe Devil In Meのコースは単体で遊んでみたくなるような不気味な要素が目白押しだった。

更に個人的に面白さを感じたのはダークピクチャーズシリーズお馴染みの分岐要素がステージ上に用意されていたこと。

単純にコース上に何ヵ所か分岐が用意されていて左右どっちのレールを進むかで起こるホラー演出や戦う敵が変化するのも面白かったし、本作に登場するキャラクターの救出or殺害といった分岐、特定の場面でのギミックに対してどういうリアクションを取ったのかっていうのが分岐として用意されていて最後のリザルトで結果が発表されるのはなんだか感動したな。

ただ、全体的にその分岐が後々の展開にそれほど大きく効いてこないのは少し残念。

勿論いくつかの要素は台詞の変化やらラストのコースでの分岐に影響は及ぼすけど、原作シリーズに比べても大きな影響や分岐に発展しないのは惜しさを感じたかな。

この辺にもっと深みがあったら更に楽しかっただろうし周回する事にも意味が出てきたと思うから勿体なさを感じちゃった部分だったね。
ステージクリア後のリザルト画面にてそのステージの分岐や隠し要素を確認している場面
4周した僕でも見つけられていない分岐要素も


全体的なホラー演出としてはビックリ系が多かったかな。
この辺はダークピクチャーズシリーズをプレイしたことがあればある意味納得の仕上がり。

とはいえ、その種類やパターンは結構豊富で右に意識を集めておいて左から出てくるとか、1回驚かせておいて間を空けてから再びビックリとか、来ると思わせてすかしてからのやっぱり襲いかかってくる場面とか多種多様。

ビックリのパターンにもこんなに色々あるんだね。そこに驚き。

勿論、単純に大量の不気味な人形が登場したり、だるまさんが転んだとかビックリホラー以外の演出も結構ある。
大量の不気味な顔面が張り付いている狭いトンネルをゆっくりと移動している主人公
ヘッド振動も相まって良い意味で嫌な場面


因みにダークピクチャーズシリーズの要素として、演出や怪物以外にも語り部的な存在でお馴染みのキュレーターも度々登場してくる。

こちらも原作同様に意味深な雰囲気だけは漂わせて実際には何もしてこないという部分まで忠実に再現。

ステージによっては隠れキュレーターみたいなのがいて、それを探すのも意外と楽しかったりする。
ステージ内にひっそりと登場しているキュレーターを発見している場面
そんな所に!?ってなる感じは結構好き


2.コースターシューティングの楽しさ

全体的なホラー演出の恐怖感と面白さもさることながら、ジェットコースターVRという要素を活かした浮遊感もかなり楽しかったな。

特に急下降時とスピードが大きく乗った状態での左右への急カーブはVR慣れしまくっている僕でさえかなりフワッと浮いている感じがして結構感動。

こういう錯覚を感じられるのはVRゲームならではだよね。

頭を左右に動かしながら障害物を回避しながら進んでいく感じも結構楽しい。

中でもHOUSE OF ASHESのコースは遺跡内をインディージョーンズ的に進んでいく内容なのでかなり顕著だったな。
高速で移動しながら、倒れてくる柱を回避している主人公
高速移動中に倒れてくる柱を避けるのは楽しい


シューティングとしては配置されている小物をガンガン破壊出来るのは楽しかったかな。
ちょっとした箱やら酒瓶やらバンバン壊せるのはホラーゲームだけどストレス発散にもなったね。

ぼっーっと撃っているとホラー演出忘れてて改めて驚かされることもあるけど。

慣れてくると怪物相手にも大分冷静に戦えてこういう所も意外と爽快。

ただ、全部が破壊できる小物って訳じゃないのでもっと増やしてくれたら更に楽しかっただろうなとは思う。

銃の種類はいくつかあるけど個人的には初期のハンドガンが一番使いやすかったかな。

後はギリギリリボルバー。
かなりの高威力で当てれば敵が倒れるので恐怖も薄れるし、手に入れたときの安心感はかなりあったね。

他にもサブマシンガンとかあるけど、そもそも左右でトリガーを別々に動かす事やリロードのタイミングがズレると逆に難しくなる。

特に初回なんかは敵との戦いの度にテンパっていたので片方だけずっと空撃ちしてた。

いっそこの辺は1つの箱で全部2丁出てくればよかったのに。
もしくは単純に火力をもっと上げてくれるとか。

この辺は若干調整の甘さを感じちゃった部分だったかな。
視線を外すと動いて迫ってくる化け物を二丁拳銃で攻撃している主人公
2丁拳銃っていうスタイルが爽快感あったね


ただ、ギミック的な武器もいくつか用意されていてスタンガン?とか照明弾、UVライトとかの武器は結構面白かったかな。

特にUVライトは状況も相まってホラーとして緊張感があるし。

普段こういうタイプのシューティングはやらないっていうのもあるのかもしれないけど、粗さはあるもののバ敵や小物をバンバン破壊出来るのは爽快で楽しかったかな。

後、1つのコースが大体30分前後っていうのも丁度良い塩梅。
これ以上長すぎても疲れるし。

周回でトロコンとかを前提とすると少し長く感じる部分もあるかも。

気持ちもう少し短くても良かったかなーとは思うけど、そうするとボリュームが少なすぎる気もするし難しい所だね。

因みにエンドロールではプロデューサーとかのクレジットを撃ち落とすギミックがあるんだけど、これは結構遊び心を感じで楽しかった要素だったな。


3.PSVR2の機能を活かしたホラー演出

それほど多くはないものの、PSVR2の機能を活かしたホラー演出はかなり恐ろしく、面白かったな。

特にアイトラッキングを利用したホラー演出はメチャクチャ怖かった。

とあるルートを進むとマネキンが登場する演出になるんだけど、まばたきする度に敵が動くのは凄まじい恐怖だったね。

ただ、結局まばたきしないと展開が進まない仕様なのは何とも言えない感じ。

もしかしたら限界まで目を開けてれば進んだのかもしれないけどドライアイな僕には到底無理だった。

でもこういうギミックはアイトラッキングの機能ならではのものって感じで凄く可能性を感じたね。
瞬きをするたびに配置が変わるマネキンの様な化け物に襲われている主人公
まばたきで配置が変わっていくの怖すぎた


後はヘッド振動とコントローラーの振動、トリガーの負荷はやはり良いね。
圧倒的に没入感が増す。

これもとある場面で大量の手と頭が待ち受けている狭い空間を抜ける時にヘッドが振動した時はメチャクチャ怖かった。

欲を言えば銃は種類毎にトリガー負荷に変化が欲しかったかな。

コントローラーの指のトラッキングも手でハートが作れるくらいには精度は良かったかな。

その機能の使い所は特に無いけど。

そこまで多くの機能を器用に使いこなしているとまでは思わなかったけど、やはりアイトラッキングの可能性は結構感じたかな。


4.シンプルでコンパクトなストーリー

ストーリーはかなりシンプル。

コース終了時なんかに断片的に挟まれるムービーや会話で主人公の置かれている状況が段々と分かってくるっていうパターンのストーリー展開。

Until Dawn: Rush of Bloodをプレイしてないから分からないけど繋がりでもあるんだろうか?

明らかに妹の発言は本作だけで考察出来る範疇を超えていた気がするんだよね。

それともそういう思わせぶりな態度や表現だっただけなのか。
もう少し分かりやすいストーリーの深掘りは欲しかった気はしないでもない。

とはいえ、そもそもこういうアトラクションシューティングにストーリーが必要なのかと言われると微妙なので個人的にはこれくらいでも全然気にならなかったかな。

欲を言えば分岐要素と絡めてもう少し深みは欲しかったかも。


5.トロコンややりこみ要素に関して

一応トロコンを達成したのでそこについても軽く触れておく。

トロコンに関しては多少時間があれば誰でも取れる難易度かなーって感じ。

乗客の生存や死亡といった分岐がトロフィーに関係してくるのでそれを考慮して最低でも3周する必要はある。

これを面倒と感じるかどうかといった所かな。

僕自身は初回クリア時にエラー落ちでエンドロールに行けなかった事もあって結果的には4周したけど、それでもまあまあ楽しめているうちにトロコン出来たと思う。

怪物を爽快に銃で倒していくのはデビルハンターになったような気分で楽しかったし、指のトラッキングを駆使して手でハートを作ってみたりするのも意外と面白かったし。
ラスボスのベリアルに手でハートマークを作って遊んでいる場面
ネテロ会長も嫉妬するレベルに綺麗なハート


ただ個人的には乗客を全員スルーっていうトロフィーはいらなかったんじゃないかと思う。

ラストバトルのボスとの会話も乗客全員死亡時とそんなに変化も無かったし。

トロフィーの中で1つだけ条件が多少わかりにくいのはエンドロール後にラスボスの台詞を聴くってやつ。

これはラストバトルの時に時間制限が出る場面があるんだけどこの時間を使い切ったあとにラスボスを倒す。

するとバッドエンドルートに突入してエンドロール後に特殊な台詞が聞けてトロフィーが手に入る。

バッドエンドの演出は個人的には結構好きだったな。

因みにこのトロフィー達成の為には乗客を見捨てる系のルートの方が仕様上楽。

やりこみ要素としてはそれぞれのステージでひたすらハイスコアを狙うって事くらいかな。

それぞれのコースクリア時に世界ランキング的な物を表示できて周回しているときはハイスコアを目指して試行錯誤するのは結構楽しかったね。

因みにこれは完全な自慢だけどいくつかのステージかで最高世界3位に入れた。

このゲームのランカーであることを今後プロフィールとかの前面に押し出していくかは悩み中。

一応個人的なコツを書いておくと、連続ボーナスは物を壊したり敵を倒すとゲージが回復するのでイベントシーンでの連続ボーナス減少を考慮してその前後で壊せるものを少し残しておくと意外とハイスコア取りやすい。

参考までに。


6.その他システムやバグに関して

ロードに関しては割と長め。

前世代機のPSVR系のゲームと似たような長さ。
体感6,7秒位。

ロード中に回転するオブジェクトをぼっーと撃てる誤魔化し要素は嫌いじゃないけど、それにしてもロードは長い。

しかもムービーの合間に細かくロードが入るからより顕著にそれを感じちゃうのはあまり良くない設計だったとは思う。

バグは1箇所、多分確定でエラー落ちする場面があった程度かな。

個人的にはこれが結構致命的で辛かった。

初回ラスボス倒してのリザルト後にエラー落ち。
ライドを続行したりステージ最初からやり直したりしてもエラー落ちでエンドロールにたどり着けず。

条件は1つじゃないだろうけど、その後にも似たような状況が再度再現出来たことを考えるとどうやらスコア0の状態でリザルト辺りに進むとエラー落ちするっぽい。

他にもバグか仕様か判断がつかなかったのが、目を長めに瞑っていると段階的に画面が暗くなっていく点。

プレイ中、目が乾燥して目を休めていた時に何度か遭遇した。

一応メニュー画面に行ったり、チェックポイントから再開で直ったけどこれに関してはバグなのか仕様なのか未だに理由がよくわからない。

そして、周回中に遭遇したのが本来高速になる場面で速度が上がらないというバグ。
これもチェックポイントからやり直せば元に戻ったけど、結構焦った。

本来は高速で抜けていくべき場所だからスロー過ぎて全然展開が進まないし。

上記のバグを含め全体的に挙動の不安定さは目立つかなーという印象。

画質に関しては前世代感はあったけどホラーはこれ以上リアリティが増すと怖すぎる気もするし個人的にはそれほど不満は感じなかったかな。

勿論良いに越したことは無いけども。

それよりも割と近場のオブジェクトの読み込みがハッキリと分かってしまうシステム設計やスピードが乗った状態のコースターだと時々カクツク瞬間があることの方が気になっちゃったかな。

この辺の画質周りの事に関しては開発としては不具合の可能性があるらしく調査しているらしいけどいち早く修正されて欲しい部分ではあるね。

後、字幕に関してはネットでは見にくいって意見が結構見られたけど設定で背景を黒にしていたからか特に不満を感じることは無かったかな。

そもそも内容的にもそれほど重要な事は言ってない気もするし。
ストーリー要素自体がオマケ感がするしね。

酔いに関してその場で座って動かない形式という事もあって殆ど感じ無かったかな。
ジェットコースター的な浮遊感を受け入れられればVRゲームとしては酔いにくい部類だとは思う。


ここが良かった!

・ダークピクチャーズシリーズならではの恐怖体験の数々

・ジェットコースターの浮遊感

・怪物やステージ上の小物を破壊するのは割と爽快


ここが気になる!

・シューターとしての遊びの幅が狭い

・分岐はあるけどそれぞれの影響がパッとしない

・画質やフレームレート、読み込みの不安定さ


総評

シリーズお馴染みの怪物やイベントがコースの雰囲気として再現されていてダークピクチャーズシリーズを遊んだことのある僕としては非常に楽しめた作品だったな。

まさかキュレーターも出てくるとは思わなかったし、メチャクチャ凄いって程でもないけど分岐的な要素とかもあるし。

勿論、シリーズをやったことが無くてもホラーとしてかなり怖面白いので本作からダークピクチャーズシリーズに入っていくのもありかもしれない。

後、アトラクションとしてのジェットコースターの浮遊感もかなり良かったと思う。

初回プレイ時はホラーとして純粋な怖さが、そして周回するごとにシューティングとしてハイスコアを目指す面白さと爽快さがそれぞれあってなんだかんだ面白かったな。

ただ、全体的な画質のイマイチさやフレームレートのカクツキ、読み込み範囲の粗なんかが目立つのは良くない所ではあるね。

この辺はアップデートとかでドンドンと直していって欲しいかな。

そんなダークピクチャーズシリーズのお馴染み要素と遊園地のホラーアトラクションの絶妙な融合。

気になった方は是非遊んでみてほしい。