リトルホープのタイトル画面


[リトルホープ 感想.評価]無数に分岐するマルチプレイ型ホラーアドベンチャー[ゲーム]

[リトルホープ 感想.評価]無数に分岐するマルチプレイ型ホラーアドベンチャー[ゲーム]

どんなゲームか

乗車していたバスの事故によってリトルホープと呼ばれている町に向かうことを余儀なくされた5人の乗客たち。

しかし、ようやくたどり着いたその町で全員の身に恐ろしい出来事が襲いかかる。

果たして彼らはこの町から脱出することは出来るのか、この町で起こっている出来事の真相とはいったい・・・。

といった導入のホラーアドベンチャー。


作品情報

2020年10月30日発売。開発元はSupermassive Game。

プラットフォームはPS4、Xbox one、Switch、PC等。

価格は3520円。



公式サイトはこちら



本作はSupermassive Gameが手掛けているホラーゲームシリーズであるダークピクチャーズシリーズの第2弾にあたる作品。

シリーズとは呼ばれているが基本的にはそれぞれで完結していて、共通して登場するのは語り手であるキュレーターくらい。

第1弾にはMAN OF MEDAN、第3弾にはHOUSE OF ASHESがそれぞれ発売されている。

最新作にあたる第4弾The Devil In Meは2023年3月時点現在日本では未発売。

ちなみにパッケージ版もMAN OF MEDANと本作のみの発売。

基本的なマルチプレイ関連や分岐によるゲーム進行のシステムはシリーズで共通となっている。

また、2022年7月のPSプラスのフリープレイにはMAN OF MEDANが配信されていた。

キャラ毎の選択肢によって無数に分岐するストーリー展開。

おぞましいホラー演出。

コントローラー1つをプレイヤーに渡すことで1人1キャラを操作することができるオフラインマルチシステム。(オンラインでは2人まで)

[追記]
2023年10月5日からSwitch版の配信も開始された。


といった特徴がある。


プレイ環境と状況

まず最初に、プレイした環境について書いておく。

PS4版をプレイ。オフラインのムービーナイトモードによるマルチプレイを4人。
(内訳は怖がり2名、普段からホラーゲームを遊ぶ人2名といった感じ。)

余った1キャラは1人の人が2キャラを担当。
といった感じでのプレイ。

僕自身は前作のダークピクチャーズシリーズの第1弾であるMAN OF MEDANやその前の作品であるアンティルドーンもクリア済み。

追記:同じ開発会社の新作であるクアリーもクリアしたのでそちらも併せてどうぞ。


[クアリー 悪夢のサマーキャンプ 感想.評価]マルチプレイ分岐ホラーADVの傑作[ゲーム]


[追記]
本作の敵やコースも登場するダークピクチャーズのVR作品も遊んだのでそちらも併せてどうぞ。


[TheDarkPictures:Switchback VR 感想.評価]シリーズお馴染み要素満載のホラー[VR]


要素毎の感想と評価

1.謎多き先の気になるストーリー展開

全体的な流れに関していうと割とホラー映画によくある流れって感じかな。

バスの事故なんかのきっかけで仕方なく訪れた寂れた町で謎の心霊現象に遭遇。

その心霊現象を回避しつつ、その謎を少しずつ明らかにしていきながら町からの脱出を目指すって感じ。
ダークピクチャーシリーズに共通することではあるけど、この辺の導入や設定は割と王道のホラー作品っていう感じではある。

このリトルホープでは町を探索している最中に時々この町の過去の出来事が起こった時代へと飛ばされたりして、物語の謎はどんどん深まっていく。
登場人物達が集まって今後の行動について話あっているシーン

割とホラー映画のメタ的な発言をする面々


ストーリーの流れ自体は終始先の読めない、どういう展開になっていくんだ???っていうワクワクがあって割とグイグイと前のめりで進められた感じかな。

ただマルチエンディングということや、細かい資料での補完する必要があるなど、普通にストーリーをプレイしているだけでは語られない部分も多く考察サイト等で補完しないと若干モヤッとして終わる感じはあった。

勿論、ホラーゲームだしそんな後味も個人的には悪くないとは思うんだけど気になる人もいるかも知れないので参考までに。

考察サイトを読んで点と点が線になると多少カタルシスは得られるとは思う。

実際にプレイしていた全員が成程、そういう解釈なのかーって感じで一応の納得はしていたしね。
寂れた博物館に展示されているポペットの解説を読んでいる登場人物

随所に散りばめられた資料から補完していく


ちなみに個人的にはラストは衝撃的なネタバラシだったように思う。

その後に改めて全体のストーリーの流れを思い返してみると、なるほどっ!そういう意味だったのか! ってなる感じは結構良かったと思うね。

特に幕間にキュレーターと呼ばれる語り手が登場してくるんだけど、こいつの発言が初プレイの段階だと正直意味不明で頭に疑問符だらけ。

でも、結末を知ってから改めて発言を拾っていくとかなり芯を食った事を言っている。
それがなんとも面白い。

こういう演出は結構好きだな。

やんわり鳥肌がたつというかゾワッとする感覚というか。
ダークピクチャーシリーズを通して幕間でプレイヤーに対して意味深な事を語り掛けてくるキュレーター

この男の謎が明かされる日は来るのだろうか


一応軽く補足しておくと、このキュレーターという存在はダークピクチャーシリーズ全体の語り手を担っていて僕がプレイしたことがある中だと第1弾にあたるマンオブメダン等にも登場する。

非常に謎の多い男で、どの作品でもプレイヤーに対して作中のヒントになるような発言を繰り返す。
シリーズを何作かやっているとこの男の正体にもちょっと興味が出てくる構造なのは割と面白い。

このリトルホープ発売当時の段階ではまだ発売されていなかった第3弾の情報を明かしてきたりするなんとも不気味な男。

いうなれば世にも奇妙な物語のタモさん的ポジション。


2.緊張感凄まじい分岐する選択肢の連続

基本的には操作しているキャラが起こした行動、発言によって他のキャラの好感度が変化したり、それぞれの行動が後々にバタフライエフェクトの様に効いてくるといったシステム。

なので、1つ1つの選択肢に結構緊張感が出てきて面白かったかな。

特にマルチプレイだと自分では思いもよらない選択肢を他の人がとったりして、より緊張感が増していく感じも結構好き。

こういう所で各々の個性が出る感じいいんだよなー。
プレイ中に迫られる2択の選択肢の場面

制限時間もあるから毎回緊張感がある


とはいえ本作では全体的に選択肢そのものの数は少な目で誰かのちょっとした言動一つで極端に危機的状況に陥ることは少なかった気がする。

基本的には選択肢は2つずつしかないし。

しかも、町の中でのパートできちんと探索すると前作のマンオブメダン同様に今後起こりうる危機的状況のヒントが断片的な映像として流れるので何となくやらない方が良い行動、やった方が良い行動も予測がつくので、その辺も割と難易度のぬるさを助長していたかな。

このマルチプレイで分岐のあるっていうシステム自体は面白いシステムだとは思うのでシリーズを重ねていく毎にどんどんと進化していって欲しいね。

最終的にデトロイト位に複雑な分岐になったら最高だと思う。それをマルチプレイで出来るって殆ど人生を追体験しているみたいなもんだよね。そういう作品を是非やってみたい感じはあるな。

後、地味にコントローラー1つあればそれを回してマルチ出来るっていう設計なのも手軽で良いんだよね。

ちゃんと自分の操作キャラのターンが回ってきた時にお知らせしてくれるし。

ただ若干キャラ毎の操作時間に偏りがあって、まんべんなく自分のキャラの操作時間がやってくるわけじゃないので人によっては暇な時間が長かったりする。

ここはもうちょっと調整できなかったのかなーと思わなくはない。

勿論、見ているだけでも緊張感あって面白いから個人的にはそこまで気にならなかったけど人によっては気になる所かも。
ムービーナイトモードで、次のプレイヤーの番が回ってきた事を知らせるシーン

プレイヤーの部分は名前を変更する事も可能


他にもシステム面で1つ気になる所を上げるとしたら、キャラの足が遅すぎること。
ホラーゲームなので仕方ない部分もあると思うけど、もう少し速歩きに出来ても良かったんじゃないかなとは思う。

室内はともかく、道路とかを歩くシーンだと端から端までの探索が若干テンポを悪くしていたように感じたね。

ちなみに怪物に襲われたりといった危険なシーンとかで入るQTEは割と簡単。

あんまり複雑だとそれはそれでやる気がそがれるだろうし丁度いい塩梅だったように思うかな。
怪物から息をひそめるシーンでのQTE

難しくはないけど、緊張からの失敗も時々

3.毎回びっくりさせられるホラー演出

割と急に脅かしてくるパターンのホラー演出が多かった印象。

この辺は、まあまあかな。

洋ゲーのホラー作品だし、舞台設定的にもしょうがない事ではあるかなーといった感じ。

勿論、少ないながらも不気味な雰囲気とかの空気感で恐怖感を煽ってくる様なパターンも随所にあって、その場から動きたくなくなるような、先に進みたくなくなるような演出もいくつかあった。

こういう緩急のある部分は結構良かったかな。

中でも特に博物館辺りはヤバかったね。

何か出る予感しかしなくて一歩も進みたくなくなる感じはホラーゲームやってるなーって感じで楽しめた。
真っ暗な博物館にて、懐中電灯の明かりで照らし出されるマネキンたち

嫌な空気が漂う。こういう雰囲気は良い

4.クセ強めな操作キャラクターたち

それぞれの登場人物の第一印象は割と最悪だったような気がする。

一番の責任者のクセにすぐに他人に色々と押し付けがちな大学教授ジョン。
皮肉たっぷりな発言が嫌な感じの割と年齢の高めの社会人学生アンジェラ。
場を乱す発言ばかり繰り返す大学生のテイラー。
そのテイラーに振り回されてばかりのダニエル。

その中でもアンドリューは多少中立的なポジションでマシだったかなという程度で、基本的には先が思いやられるキャラだらけ。

でも最終的にある意味で苦楽を共にしたこともあってなのか、なんだかこのキャラ達に愛着が湧いてきて、特にアンジェラの皮肉っぽい言い方が段々とカッコよく見えてくる感じには痺れさせられたね。

ジョンに関しては最後まで締まらない感じだったけども。

この辺も各々のプレイヤーが操作して選択肢を選んでいる事もあって、多少操作している人物の性格とかの影響を受けたりしているんだろうなーって感じで結構面白い。


5.おぞましいデザインの化け物たち

登場する化け物のデザインも凝っていて良かった。

それぞれがストーリーの肝にもなってくる、とある特徴を模していて中々に不気味。

こういう存在に物語のバックボーンが直に活きてくるデザインの化け物って魅力的に映るんだよなー。

イメージとしてはサイレントヒルに近い感じ。あれよりはもっと直球ではあるけどね。

ネタバレになるので多くは語れないけど、とある化け物に関しては選択肢によってはデザインすら分岐するっていうのはかなり面白い試みだったと思う。

こういう演出凄く良いね。
迫りくる怪物に恐れおののく登場人物たち
デザインが良い程、緊張感が出て面白味を増す


敵のデザインが絶妙に不気味で恐怖感がある故に全体的な展開に緊張が生まれて、QTEのシーンなんかでは本当に手に汗握るといった感じになってたね。

実際、人から回ってきたコントローラーがヌルっとしていたし。


6.その他システムやバグに関して

特に気になるバグとかには遭遇せず。

地味だけどこういうゲームだと没入感削がれるのが致命的だから不具合が少ないのはありがたい。

ロードもPS4の内蔵HDDってことを考えるとそこまでのストレスは無かった。
プレイ開始時のロードが多少長いかな、って位。


ここが良かった!

・1人1キャラ操作できるアドベンチャーっていう面白さ

・先が気になるストーリー展開

・不気味な敵のデザイン

・衝撃のラスト


ここが気になる!

・移動時とかの操作性に若干の難あり

・ホラー演出がパターン化しすぎる

・もっと複雑な分岐が欲しい感じはする


総評

プレイ時間的には正味5~6時間といった所で長めのホラー映画を見ているくらいのボリューム。

マルチプレイで人とやることを考えても丁度良い感じのボリューム感だったと個人的には思ったかな。

やっぱりマルチプレイかつアドベンチャーで分岐していくっていうゲーム性はかなり面白いし、可能性を感じるね。

ホラーっていうだけじゃなくて色んなパターンでこういうゲーム他にもでないかなーとか期待しちゃうね。

惜しむらくは、このリトルホープではそれ程多くの分岐が無いっていう事と終盤までは選択肢における緊張感がそこまで大きくは無いってこと。

もっと細かく影響したり他の選択肢だったらどうなっていたんだろう?とか想像させる余地が欲しかった感じはあるね。

とはいえ友達と集まってアレコレ話したり、叫んだりするにはもってこいな作品だったのは間違いない。

ホラーゲームが苦手な人でもワイワイと楽しめる作りっていうところも良いしね。

まだまだダークピクチャーズシリーズは出ているので今後も機会があればやっていきたいなーって感じたな。

そんな、それぞれのプレイヤーが1キャラずつ操れるマルチプレイ可能な斬新なホラーアドベンチャーゲーム。
気になった方は是非やってみてほしい。